シンプル形のジャックを侮って捨てていませんか?

シンプル形のジャックを見直してみませんか?

昔の国産ギターや今でも廉価版のギターに採用されている、シンプル形のジャック。

安物の代名詞のように扱われ、スイッチクラフトをはじめとする「きちんとした規格もののジャック」へのリプレイスメントの標的!とされている可哀相?なジャックたちですが、実態は本当に「安かろう悪かろう」なのでしょうか?

私は一部のギターに採用していますので、そのことに触れてみたいと思います。

特長は、何といっても “抜き挿しのアクションが程よい硬さ” の一言に尽きます。

スイッチクラフトだとがっちり過ぎて、これはこれで必要な性能として求められるところでもあるのですが、場合によってはもう少し軽い方が良かったりすることもあるのです。

例えば、ジャックプレートがプラ製だったりするとがっちりするのが裏目に出て、プラの疲労が増し、マウントネジのところやジャックのナットの縁で割れたりするわけです。

「ならプレートをメタル製に換えたらいいじゃん」という提案もありますが、オリジナルを維持したい場合もあるわけで、そういうところにこのシンプル形は重宝するわけです。

 

欠点その1:規格不明

ズバリ「精度に問題あり」の一言に尽き、「安かろう悪かろう」の元凶とも言えます。

プラグに対しての篏合(かんごう:嚙み合わせ)について、どうしてこんなにもバラつきがあるの? と訴えたくなるくらい、個体差があります。JISでもEIAでも、どちらの規格でもよいから、きちんと適合した製品を作ってもらえるとありがたいのですけれどねぇ…

 

欠点その2:出どころ不明

そもそもあまた使われているこのシンプル形のジャックは、生産国もメーカー名も型番も何種類あるかも分からないのです。つまりせっかく気に入った個体を見つけて、これと同メーカー・同型番のをいくつと決め打ちしての購入ができません。困りますねぇ…

 

そこで長所の方を採って、使いたいギターには数あるストックの中から選別を行います。

例としてスイッチクラフト #226 プラグを使用しますが、私はこれに限定しないでそのギターに使用するプラグに合わせているので、あくまでも選別方法の参考にしてください。

※同じスイッチクラフト製プラグでも L形 #226 とストレート #280 では、篏合の具合が

 僅かに違います。

Class A(いちばんいいやつ)

写真のとおり、これならOKと言えると思います。だから Aクラス(笑)。

チップへの篏合がパーフェクトなだけではなく、ジャックの縁とプラグのスリーブの付根が密着していることが必須条件です。

手持ちのジャックからこれを見つけると、思わず「やったー!」と喜んでしまうのは機材の虜になっている可哀想なオヤジの歓声でしかありませんが、でも安上がりの幸せでいいじゃないですか(笑)。

Class B(いちおう実用になるやつ)

シンプル形ジャックをいくつか持っているのに、Aクラスほどドンズバな篏合に巡り合えなくても、がっかりしなくて大丈夫。

写真のようなら十分実用になりますよ。

 

チップへの接触は1点だけですが、プラグをジャックの奥に向って引っ張る力が働くことでジャックの縁とスリーブの付根が密着しますね。ここが大切なポイントです。

Class C(使わない方がいいやつ)

説明しなくても写真を見れば NGって分かりますよね。プラグを挿し込んでもこのような状態だったら、潔く諦めましょう。

 

チップに接触はしているものの、篏合まで達していないので、あっさり抜けてしまいます。試していませんが、JIS規格のプラグだともしかしたら Bクラス程度の篏合を得られるかもしれません。プラグとジャックは、所詮 “相性” なのですね。

クリーニングの奨め(いつもきれいに!)

写真にも記載してありますが、いくら篏合がパーフェクトでも、清掃なきジャックとプラグは決してオーナーを幸せにしてくれません。ガリガリ・ブー・バリバリを機材のせいにだけはしないでもらいたいもの。

 

加えて、接点復活剤をプシュッと吹き入れただけでも効果は薄いので、ちゃんと綿棒で磨いてから拭き取るくらいはやってくださいね。縁のクリーニングもお忘れなく!