*Burny LS Series ー 影の名流・10年にわたる軌跡 ー
LSシリーズが Fernandes(Burny)のラインナップに登場したのは、おそらく1991年くらいだと思われ、カタログには先ず LSB というベースバージョンから登場しています。
正式にカタログ掲載品となったのは92年版からで、私はその前に製作・販売されたと思われる LS-80 を所有していますが、出自については資料不足で不明のままです。
Gibson L6-S のように Les Paul のボディを平たく押しつぶしたような形状ですが、外周の曲線をよりダイナミックにしたことで、独特のグラマラス感を出すことに成功しています。後のモデルではコンター加工を加えたり、モデル毎に材のマテリアルを変えたりと、独自の進化を遂げて行きました。しかし Les Paul 亜流のイメージがついて回ったためかBurny ブランドの看板にまで成長することは叶わず、約10年間の続投で2001年版のカタログを最後に Fernandes のラインナップから消えて行きました。(最近復活とのこと)
しかし私のようにその特徴に触れ、フリークとなったユーザーも少なくないと思います。
LSシリーズは、最上級モデルの LS-135(LS-180)、LS-105、ミニハム搭載でマホガニーネック&ボディの LS-80 Ver.3
を例外に、一貫してデタッチャブルジョイント方式を採用しています。これは構造の簡易化や価格の低廉化に多大に影響するスペックですが、安直で短絡的なデタッチャブル=廉価版という評価をするべきではなく、その構造を活かしたチューニングなりカスタマイズを実践すればよいだけで、LS シリーズの特徴と前向きに受け取るべきと考えます。メンテするとわかりますが、加工精度は決して低くありません。
LSシリーズには前述のとおり、最上級モデルとして LS-180、LS-135、LS-105 等や、
エレアコラインとして LSA シリーズが存在しますが、Gibson Les Paul と仕様が近似する理由で、最上級モデルは私の購入対象から外れています。また LSA シリーズについても、今のところ LSA-65 1本のみの所有に留まっているため、紹介の範囲がエレクトリック・ギターのスタンダード・ラインから下位の機種に留まっていることをご了承ください。
※本コンテンツでは、入手した製品とカタログの記載を参考にスペックを記載しました。
Fernandes社では各年代のカタログを自社サイトにて公開されておりますので、一部の
例外を除きカタログからの転載は行っておりません。カラー名の略称など分かりにくい
記述もあるかと思いますが、より詳しい情報は前述のサイトにてご確認ください。
LS-80 Ver.1
1991年頃に発売されたと思われる、LSシリーズの記念すべきファーストバージョン。
ヘッド形状やボディシェイプ、PU 配置など、シリーズの原形は既に完成されています。
ボディトップはフラットですがバックのRは大きく、ボディコンター加工はありません。
ヘッド、ネック、ボディにセルバインディングを施し、PUに VH-1 を採用していることからも、上級機種としての仕様を充実させていることがわかります。
塗色はブラックのマット・フィニッシュ(艶消し)で、まるで化粧紙を貼った印象すら受けてしまうほど地味な仕上げ。塗装面を研磨できないので清掃には苦労させられました。
Burny LS-80 Ver.1
<仕様> ※
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:ソフトメイプルまたはバスウッド
ピックアップ:Fernandes VH-1 ×2
コントロール:2 Volume 1 Tone
ペグ :Gotoh SG30-04
ブリッジ:チェーン O マチック SG製
テイルピース:亜鉛ダイキャスト SG製
ハードウェア:ニッケル(ペグを除く)
カラー:MBL
カタログ掲載期間:なし(非掲載)
※ギターを点検した際の推測を含みます。
冒頭に記載したとおり確かに地味なギターには違いないのですが、不思議と“静”の美しさというか、凛とした和のテイストすら感じてしまうシックさを再発見してしまいました。
ただしこれは「きれいな状態」で見たときの印象なので、熱演で汗みどろにしてしまったときにどう映るかは関知できません。決して使うなって言うつもりはありませんけれど、PU カバーやブリッジ&テイルピースはニッケルメッキ仕上のため、放置すると白く曇ってやがては粉を噴いたように非常に汚らしく経年劣化するので、手入れは欠かせません。
さて所有する Ver.1 の1本は、ジョイント部に「Order Made」のスタンプが押されていました。もう一方には押されていないので、このギターが特注仕様である可能性が高いのですが、比べてみてもあまりそれらしい特徴を見い出せません。PU に VH-1 以外の機種が搭載されているようで、セレクタースイッチとアウトプットジャックに Switchcraft
製が装備されていますが、これとていくらでもカスタマイズ(後加工)できる内容なので、これらを工場に遡ってオーダーする根拠には、いまいち乏しいように思うのですが…
LS-80 Ver.2
1992年のカタログに初めて登場した LSシリーズの第一弾が、この LS-80 Ver.2 です。
PUとコントロールのサーキットを除き、Ver.1 からマテリアルを一新しています。
特筆すべきは、木調をとことん取り入れたウッディなハードウェアにあるでしょう。
ボディで目を惹くのは、ローズウッド系の材質で作られたピックガード、テイルピース、ノブです。ヘッドにも、ハカランダを思わせる鮮やかな木目の突板がプライされ、このギターが「マホガニー+ローズウッド」でコーディネートされていることがわかります。
価格は Ver.1 と同じ 8万円ですが、こちらの方が数段お値打ちではないかと思わせます。
Burny LS-80BS Ver.2
<仕様>
ネック:マホガニー
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:マホガニー
ピックアップ:Fernandes VH-1 ×2
コントロール:2 Volume 1 Tone
ペグ :Gotoh SG30-04
ブリッジ:Gotoh GE103B-T
ハードウェア:ニッケル(ペグを除く)
カラー:BS MBR
カタログ掲載期間:1992~1993
先ず最初にお断りしておくのは、写真のギターにはカスタマイズが施されており、フルノーマルではないということです。しかし原形維持を極力心がけましたので、外観についてはほぼオリジナルと見てよいと判断し、サンプルとしてここにご紹介する次第です。
余談ですがカスタマイズはかなり派手に行っており、PUを Duncan Designed HB-101、
コントロールを Gibson L6-S を参考に、Vol. Tone Mid. に変更。ハードウェアをクロームパーツとステンレスビスに統一してあります。線材は、定番 Belden #8503 です。
Burny LS-80MBR Ver.2
<仕様>
ネック:マホガニー
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:マホガニー
ピックアップ:Fernandes VH-1 ×2
コントロール:2 Volume 1 Tone
ペグ :Gotoh SG30-04
ブリッジ:Gotoh GE103B-T
ハードウェア:ニッケル(ペグを除く)
カラー:BS MBR
カタログ掲載期間:1992~1993
こちらは LS-80 MBR フルノーマルで、現在休眠中です。理由は上掲の BS に比べてやや重いこと。それと、フィニッシュがカタログのイメージと違い過ぎることですかね。
ギター自体の状態は悪くないのですが、ブラウンが濃すぎるためせっかくのマホガニーの木目がほとんど見えません。本当に同じフィニッシュなのか、私が入手した個体はカタログ外の別のフィニッシュであるのか、ぜひ真相を知りたいところです。
Ver.1 の項でも書きましたがマット・フィニッシュは手入れもしにくいため、個人的にはあまり好きではありません。リフィニッシュという選択肢もあって、悩ませてくれます。
余談ですが、カタログの写真ではブリッジがチェーン O マチックで、Ver.1 を踏襲していますね。私の所有は2本ともダボ式のナッシュビルタイプなので、途中からの仕様変更なのか、はたまたカタログの写真は2本ともプロトタイプなのか、謎のままです。でもこの写真は 93年版も流用なので、そうだとしたらちょっと考えて欲しいところですねぇ…
LS-75 Ver.1~2
LS-80 Ver.2 の後を受けて登場したのが LS-75 Ver.1 です。1994年当時のカタログには「70'sのストレートなハードロックサウンド」とのコンセプトが謳われており、マテリアルもオール・マホガニーからオール・メイプルに、コントロール・サーキットのパターンも 2V 1T から 2V 2T に刷新され、全く別の思想を持ったモデルに生まれ変っています。
最終モデルまで続いたボディ両面のコンター加工も、LS-75 Ver.1 が嚆矢となりました。
Burny LS-75 Ver.1
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:ソフトメイプル
ピックアップ:Fernandes GMH-300 ×2
コントロール:2 Volume 2 Tone
ペグ :Gotoh SG30-04
ブリッジ:Gotoh GE103B-T
テイルピース:Gotoh GT-101ZT
ハードウェア:クローム
カラー:BL N CW
カタログ掲載期間:1994~1995
マテリアルのメイプル化でサスティンを向上させ、Gibson The Paul(写真右)に類似したボディ・コンターを設ける代わりに、他のエッジのRは小さく角張った形状となりました。
コントロール・サーキットのパターンは Gibson SG に準じており、シングルカッタウェイであるが故に Gibson Les Paul の系統と思われがちですが、実際は The Paul や SG の方に共通点を多く見出せることに気付かされます。
バインディング類の装飾は一切無くなり、ポジションマークもシンプルなドットになり、ソリッドかつ潔い?外観となりました。
ハードウェアがクロームメッキのパーツで統一されていて、耐久性の高さは後述の LS-65と同様にシリーズ中随一を誇ります。(但しビス・ネジ・ワッシャの類いを除く)
ネックポケット、ネックエンドともに LS-75 の型番がスタンプされていますが、同じ塗色を表しているのに、前者は BL 後者は RB とスタンプされているのは何故でしょうか?
PU には Burny エンブレムの付いた GMH-300 を2個搭載。内部までエポキシ樹脂が含浸されてハウリング対策を万全とする一方、シングルコンダクターであるがために多芯ワイヤーへの交換は行えず、コイルタップ等のモデファイはできません。またアクセントとなる Burny エンブレムもピッキングにより剥がれやすいので、紛失に注意が必要です。
貼付ではなく刻印にしてくれれば、全ての個体が完全なままに残れたのですけれどねぇ。
ナチュラルとブラックのモデルは Gibson L6-S のコピーと思われがちですが、前述のとおり LS-75 は思想的には Gibson The Paul や SG に近いこと。また Gibson L6-S には PUセレクターやミッドレインジカット等による別の機能や特徴が備わっていることを鑑みると、単なる外観の相似からくる憶測であって、機能的に近いところはあまりありません。
<モデファイアラカルト>
LS-75 は品質が安定しているうえクリアで芯のある音がするので、私のお気に入りです。
ハードウェアも市販品の規格に準じているため、パーツ交換がしやすいことも特長です。
以下の3本は、それぞれ個体の特徴に沿ったモデファイを行っていますが、本体への加工は一切行わずパーツ交換に留め、施工時に細部の調整や配線の交換等を実施しています。
各モデルの共通項
1.導電塗料とアルミシートによるキャビティ内のシールド・ノイズ対策。
2.Belden#8503 によるワイヤリングと Switchcraft #L12A ジャックの採用。
3.Tone 側スイッチポットによるパラレル(デュアルサウンド)配線。(BLを除く)
4.ビス・ネジの類いをステンレス製に交換して防錆対策。
5.ナット・フレットをはじめとする各部の調整。
Burny LS-75N Ver.1 Modified
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:ソフトメイプル
ピックアップ:Duncan HB-103 ×2
コントロール:2 Volume 2 Tone
ペグ :Gotoh SG30-04
ブリッジ:Gotoh GE103B-T
テイルピース:Gotoh GT-101ZT
ハードウェア:クローム
カラー:N
カタログ掲載期間:1994~1996
共通項以外に行ったことは、PUの交換くらいです。極めて標準的なギブソン仕様のギターに仕上がっていますが、形状の特徴と材の美しさが調和して全く飽きがきません。
何だかんだ言っても、ナチュラルの個体が Gibson L6-S に似ていることは否めませんね。
Burny LS-75CW Ver.1 Modified
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:ソフトメイプル
ピックアップ:Duncan HB-103 ×2
コントロール:2 Volume 2 Tone
ペグ :Gotoh SG30-04
ブリッジ:Gotoh GE103B-T
テイルピース:Gotoh GT-101ZT
ハードウェア:クローム
カラー:CW
カタログ掲載期間:1994~1995
この個体はかなりのバッドコンディションで入手したため、しばらくは手つかずでした。
カタログの写真からはほど遠い黄ばんだ白色に変色し、本体やピックガードも傷だらけ。
つらつら見ているうちにこの“黄ばんだ白色”がクリーム色に見えてきたので、いっそアル高名なギタリストの往年の愛器のイメージを拝領してはどうかという発想に至りました。
ピックガードはお世話になっている工房にクリーム 3P セルロイドの在庫があったので、それを加工していただいたところ、見事にマッチングしてくれたために更にヤル気倍増。
エスカッションやノブも新調したので、パーツ代がどんどんかさんで行きました(泣)。
PU はナチュラルと同型ですが、オープンタイプのためブライト感がアップしています。
Burny LS-75BL Ver.2 Modified
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:ソフトメイプル
ピックアップ:Dragonfire P90-type ×2
コントロール:2 Volume 2 Tone
ペグ :Gotoh SG30-04
ブリッジ:ナッシュビルタイプ・ローラー
テイルピース:Bigsby B5 & Vibramate
ハードウェア:クローム
カラー:BL
カタログ掲載期間:1995~1996
こいつを持ってライブすると必ず訊かれたりする、ちょっと目立った外観をしています。
そもそもは P90-type の PU をマウントする発想からスタートしたのですが、ノーマルハムバッカーサイズの P90-type を物色しているうちに、Ver.2 のピックガードと全く同じ柄のカバーを付けた Dragonfire 製を見付けたのでそれをゲット。すると風貌がどことなくグレッチめいてきたので、更に Bigsby B5 とローラーブリッジを奢ってしまいました。
マウントに際しては“無加工”の掟?を遵守し、Vibramate のお世話になってボルトオン。
ブラックの個体には、クロームメッキやアルミ素材のパーツが一層映えるようです。
思ったほど重量増にもならず、サウンドもイケる。P90系の PU はやはり良いですね。
フェルナンデスから全く久々(13年ぶり)に発売された LS-Vintage 2014 というスポット商品が Bigsby をマウントして登場したのには驚きましたが、LSシリーズ に Bigsby が似合うというのは、きっと誰もがそう思うほど自然な取り合わせなのでしょう。
※ LS-Vintage 2014 については最下段をご参照ください。
PU が単芯なので、コイルタップやパラレル配線は行えません。代わりにスイッチポットで CRフィルターを介し、ブライトなカッティング・トーンが得られるようにしました。
LS-80 Ver.3
オール・マホガニーの LS-80 Ver.2 がオール・メイプルの LS-75 Ver.1~2 に推移したことで、LSシリーズのハードなイメージが高まりましたが、マホガニーが持つウォームな響きを求めるニーズに応えたラインナップとして LS-80 Ver.3 が登場したと思われます。
LSシリーズ中で随一、ミニハムバッカーを搭載したモデルとなりました。
Burny LS-80 Ver.3
<仕様>
ネック:マホガニー
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:セットネック
ボディ:マホガニー
ピックアップ:Fernandes GMH-220 ×2
コントロール:2 Volume 2 Tone
ペグ :Gotoh SG30-04
ブリッジ&テイルピース:B-60
(バダスタイプ)
ハードウェア:クローム
カラー:BR WR VN
カタログ掲載期間:1996~1998
LS-80 Ver.3 の特徴は Gibson Firebird を彷彿とさせる、クロームカバーのミニハムバッカーの採用と、バダスタイプ・ブリッジ。ハイエンドモデル以外では初の、セットネック採用にあります。マテリアル的に見れば、P90 の Gibson Les Paul Special をミニ・ハムバッカーに換装した仕様に近いですね。また本機と LS-65、LS-55S、LS-38
Ver.3 だけはジャックがボディサイドに付いていることも、他のモデルと異なります。軽量で非常に丁寧な作りをしており、コアな愛用者を持っているために人気が高いモデルのようです。
PU のトップに Burny ロゴが彫金されていますが、これって先の LS-75 が装備していたPU(GMH-300)に貼られた剥がれやすいエンブレムの反省からくる仕様でしょうかね?
完成度が高いためあまりカスタマイズの提案はありませんが、強いて言えば2つの PU が同形式・同出力のため、DiMazio社のミニ・ハムバッカーのようにフロント&リアで出力をマッチングさせたモデルへの換装がお勧めですね。バダスタイプ・ブリッジから非調整形の Wilkinson タイプに換えるのも面白いですね。これらは何れも元に戻せるカスタマイズなので、本機をお持ちの方はぜひ試していただきたいと思います。
ロックに留まらず、ブルース、ファンク、レゲエ&フュージョン、何でもやりたくなってしまう、ヴァーサタイルな魅力を持ったギターです。
追記:LS-80Ⅲ は、ボディ幅が35cmと広い(他の LSシリーズは33cm)のが特徴です。
LS-38 Ver.1
LS-38 の登場は「Voice97」という増刊タイプのカタログからで、下記のスペック以外に何のセールスコピーも伴わない、LSシリーズ初のエントリーモデルとしては実にクールなデビューを果たしました。それでも LS-75 の半額近いプライス達成には拍手です!
Burny LS-38 Ver.1
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:バスウッド
ピックアップ:Fernandes FVH-101×2
コントロール:2 Volume 2 Tone
ペグ :NB・キーストンタイプ
ブリッジ:NB・TOMタイプ
テイルピース:NB
ハードウェア:クローム
カラー:CAR SLV BL
カタログ掲載期間:1997
外観上は LS75~LS60 を踏襲していることは明白ですが、ピックガードが省かれ、ブリッジが TOM(チェーン O マチック)仕様になっており、ネック~ヘッド裏面が、各カラー共通でナチュラル塗装になっていることで、容易に見分けることができます。
ノブが小形のメタル製になったのは、LS-65 に受け継がれていますね。
マテリアルを紐解くと、各部でコストダウンを図ったコスト&パフォーマンスバージョン(廉価版)となっており、実際に検体を確認してみると、本モデルから LSシリーズとして初めての海外生産(おそらく韓国製)に移行していることが分かります。
カラーバリエーションは3色。BL を除く SLV と CAR はメタリックで、いずれも塗りつぶし。ポリエステルというよりはウレタン塗装に近く、薄めで比較的軟質の塗膜です。
Ver.1 の特徴として、LS-75 より PU の間隔が僅かに狭まっており、LS-38 Ver.2 以降ではジャストフィットする LS-75 のピックガードが、加工なしでそのまま流用できません。
また Ver.2 以降より塗料のメタリックの粒子が粗く、ラメ塗装に近い印象を受けます。
ネックポケット、ネックエンドともに型番のスタンプはありません。ネックエンドの方のスタンプは、おそらく管理ナンバーでしょうか? 無理して読めば、1996年12月まではこじつけられますが、下二桁の 68? はいったい何なのでしょうか? どーでもいいですが。
ネックエンドにシムをかましたのは、ネックポケットの縁の塗料やマスキングテープの処置を怠ったため、ネック起きが生じてしまったための対策と推察できます。試しにシムを外してみたら、見事にブリッジが下りきって弦高調整が不能になりました(意地悪?)。
よく見るとストラップピンにはフェルトワッシャーが付いており、PU エスカッションはブリッジ側が高く、PU のポールピースのピッチもネック側よりブリッジ側を広くキャリブレーションされていたりと、他の LS シリーズには見られない仕様が散見されます。
この辺りは、生産工場における仕様設定ポリシーの反映ではないでしょうか?
つまり細かく指示されていない箇所については、独断というと聞こえが悪いですが、その工場が標準としている仕様に任せて作られているということですね。
ブリッジ、テイルピース、ペグの類も現地調達となったようで、国産ハードウェアの標準であった SG(信越鋲螺?)や GOTOH 等の刻印が見られなくなりました。
LS-38 Ver.2
1998年は LS-80 Ver.3 が大々的にフィーチャーされているものの、前年に登場したばかりの LS-38 Ver.1 は、何故か姿を消しています。しかし 1999年版のカタログになって、晴れて LS-38 は正式に “エントリーモデル” と銘打ったデビューを飾りました。
Burny LS-38 Ver.2
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:バスウッド
ピックアップ:Fernandes FVH-1001×2
コントロール:2 Volume 2 Tone
ペグ :Gotoh SGE-04
ブリッジ:チェーン O マチック SG製
テイルピース:亜鉛ダイキャスト SG製
ハードウェア:ニッケル(ペグを除く)
カラー:SLV BL CAR MTB
カタログ掲載期間:1999~2000
登場した LS-38 は一見すると Ver.1 と何も変わりないように写りますが、実は生産国が台湾に移行し、ハードウェアにも大きな変更が生じて、Ver.2 へと変貌していたのです。
日本製ハードウェアの現地供給が大幅に推進され、ペグはゴトーガット製。ブリッジ&テイルピースは信越鋲螺製、PU はゴトー製と国産ブランドのオンパレードとなりました。
カラーバリエーションには MTB が追加されて4色となりましたが、同名のカラーにおいても色合いや塗料の肌理(きめ)が大きく変わり、同色とは思えない変貌を遂げています。
Ver.1 では塗料のメタリックの粒子が粗く、ラメ塗装に近いと書きましたが、Ver.2 ではグッと細かくなってシルキーな光沢を生んでいます。反面、全体の印象が “やや暗め” にシフトしたようで、SLV は緑がかった、CAR はオレンジがかった印象を受けました。
Ver.1 でも触れたとおり、Ver.2 は寸法的に LS-75 の規格に戻ったため、ピックガードの流用が可能になりました。立ち位置は “エントリーモデル” であっても、素性の良さと軽量さが幸いして、如何様にでも発展させられるカスタマイズのベースとして推奨できます。
あえて負の要素を挙げれば、ブリッジ&テイルピースはニッケルメッキで酸化(白濁)しやすく、ポットやジャックもコストダウンの影響か、緩み止めの菊座ワッシャが省略されているため、中古品によってはハードウェアの劣化と部品の緩みで、あらかじめダメージを覚悟する必要があるでしょう。更にネジ止め式が災いし、ノブの欠損も多く見られます。
せっかく入手した MTB でしたが、傷と欠損のバッドコンディションで到着したため、オリジナル状態での使用は諦めざるを得ませんでした。そこで上掲の LS-75CW よろしく、ある高(中)名なギタリストの往年の愛器のイメージを拝領してモデファイしてみました。
Burny LS-38 MTB Ver.2 Modefeid
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:バスウッド
ピックアップ:Front Fernandes VH-1
Rear Fernandes SH-1
コントロール:2 Volume 2 Tone
ペグ :Gotoh SGE-04
ブリッジ:Gotoh GE103B-T
テイルピース:Gotoh GT-101ZT
ハードウェア:クローム
カラー:MTB
カタログ掲載期間:1999~2000
<モデファイの内容>
1.導電塗料とアルミシートによるキャビティ内のシールド・ノイズ対策。
2.ポット4個を新品(Alpha製)に交換し、オレンジドロップのキャパシターを採用。
3.Belden#8503 によるワイヤリングと Switchcraft #L12A ジャックの採用。
4.PU を Fernandes を代表する VH-1 と SH-1 の “ダブル・ホワイツ” に換装。
5.ボリュームとトーンのノブを名称入のソーサーノブに交換。
6.PUセレクタースイッチをツマミの低い全金属製に交換。
7.ブリッジ&テイルピースをクロームメッキ仕様に交換。
8.ビス・ネジ・ワッシャの類いをステンレス製に交換して防錆対策。
9.ナット・フレットをはじめとする各部の調整。
いかがでしょうか?
少し暗めのボディカラーも、クリーム&クロームのパーツに交換することでパッと明るいイメージへと変貌しました。ブリッジの質量が上った効果もあって芯のあるサウンドになり、ヴィンテージ系の PU が醸し出すブライトさとの相性も良い感じにまとまりました。
LS-38 Ver.2 Special Edition
LS-38 Ver.2 には、カタログに掲載されていないスペシャルカラーが存在しました。
Burny LS-38PW Ver.2 Special Edition
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:バスウッド
ピックアップ:Fernandes FVH-1001×2
コントロール:2 Volume 2 Tone
ペグ :Gotoh SGE-04
ブリッジ:チェーン O マチック SG製
テイルピース:亜鉛ダイキャスト SG製
ハードウェア:ニッケル(ペグを除く)
カラー:PW(パールホワイト)
カタログ掲載期間:なし(非掲載)
PW(パールホワイト)は私が作った呼称ですが、読んで字のごとくシルバーの上に半透明のホワイトをコートしたパール塗装が施され、LS-75 の CW とは明らかに異なります。
単なるカラーバリエーションではない証拠に、PU(FVH-1001)はボディカラーに合わせてダブル・ホワイツが特注され、ヘッドまで同色に塗装(マッチングヘッド)された、気合の入った仕様になっています。おまけにヘッドのロゴに至っては、何とアバロン(もちろん本物ではありませんが…)がインレイされているという徹底ぶりには驚かされました。
LS-38 のグレードにして何故?これほどの特別版が作られたのかは、未だ謎のままです。
LS-65
LS-38 Ver.2 の登場と同時にラインナップされたものの、僅か1年のカタログ掲載期間で幻のように消えてしまった機種。LSシリーズ中で、最もビジュアル感を前面に打ち出したモデルと言ってもよいでしょう。バックのウエストコンター以外両面ともフラットです。
Burny LS-65
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:マホガニー
ピックアップ:Fernandes FMH-3210×2
コントロール:2 Volume 2 Tone
ペグ :Gotoh SGE-04
ブリッジ:Gotoh GE103B-T
テイルピース:Gotoh GT-101ZT
ハードウェア:クローム
カラー:SLSP RSP BSP
カタログ掲載期間:1999
マテリアル的にはマホガニーボディ+メイプルネックと、LS-80 Ver.2 と LS75 Ver.1 の中庸的な仕様設定ですが、このモデルの白眉は「スパークル・フィニッシュ」と銘打たれたトップの塗装に尽きます。ボディトップはフラットなので、まるでラメのアクリル板を貼りつけたような、特異できらびやかな外観を持っています。以下の2本もご参考あれ。
※反射を抑えて撮影したところ、実物よりも暗く写ってしまいました。
ハードウェアは PU 以外、ほぼ LS-75 Ver.1 に準じていますが、LS-80 Ver.3 の項でも触れたとおり、ジャックの位置がボディサイドに配されていることが大きな相違点です。
PU は LS-38 Ver.2 の FVH-1001 より上級グレードの FMH-3210 を2個搭載して差別化を図っています。ややこしいのは、両方とも同じ“ゴトー製”にも関わらず、FVH-1001 の方は昔からの PU ブランドである Gotoh。FMH-3210 の方はブリッジやペグ等のハードウェアで著名な Gotoh Gut の製品であることで、お間違い無きよう。尤も Gotoh
Gut の方は後年 PU の製作から撤退してしまうので、ある意味歴史的なパーツとも言えますね。
時系列的に見ると、LS-65 が最後の “国産LS” となってしまったようです。全てのラインナップが OEM で構成されている Fernandesギターにおいて、LSシリーズの加工や部品構成を追ってみると、おそらく同一の工場で作り続けられたのではないかと推察できます。
追記:LS-65 も、ボディ幅が35cmと広い(他の LSシリーズは33cm)のが特徴です。
LS-55S Ver.1
LSシリーズにして最初で最後のサスティナー搭載モデルとなったのが、LS-55S です。
何故か例外なく 3~4絃のペグのみ下向きに付けられていますが、どうしてでしょうか?
ブラックメッキで統一されたハードウェアもシリーズ中随一で、異彩を放っています。
Burny LS-55S Ver.1
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:アルダー
ピックアップ:Driver HPD-200
Fernandes FVH-1001
コントロール:1 Volume 1 Tone
1 Sustainer Controls
ペグ :Gotoh SGE-04
ブリッジ:チェーン O マチック SG製
テイルピース:亜鉛ダイキャスト SG製
ハードウェア:ブラックメッキ
カラー:BMB RMB MBK
カタログ掲載期間:2000
サスティナーを搭載したモデルの大半がストラトタイプギターのラインナップ中、本機と APG-55S のみがノントレ仕様チェーン O マチック系なので、貴重な存在でもあります。
搭載機種はエントリーモデルの「サスティナー・ライト」ですが、使用した所感としてはコントロール部をいたずらに増やすことも無く、必要にして十分と思えるものでした。
ギターとしての仕様は、ほぼ LS-38 Ver.2 に準拠したもので、ちがうところを挙げれば、ボディの材質とハードウェアのメッキ色くらいです。生産国は、こちらも台湾でしょう。
サスティナーとバッテリーを搭載したうえで、未だ軽量感を覚えるのはありがたいです。
毎度のことですが、使い始めてみると色々な所感は出てくるものなので、列記します。
1.ボリュームとトーンの配置が一般的なギターと反対(外周側がボリューム)のうえ、
3つとも同じノブを使用しているので、演奏中に分かりにくい(区別しにくい)。
2.ブラックメッキは劣化しやすいので、ギターが経年でどんどん見すぼらしくなる。
3.サスティナーON を示す LED がバックパネル内にあって分かりにくい。
4.カラーバリエーションに普通の色(赤や黄色のソリッドカラー等)が欲しい。
3~4はともかく、1~2の仕様は何とかしたいと思い、ライブ用にモデファイバージョンを作成しました。ここにご紹介しますので、参考になれば幸いです。
Burny LS-55S-BMB Ver.1 Modefied
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:アルダー
ピックアップ:Driver HPD-200
Fernandes FVH-1001
コントロール:1 Volume 1 Tone
1 Sustainer Controls
ペグ :Gotoh SGE-04
ブリッジ:Gotoh GE103B
テイルピース:Gotoh GT-101ZT
ハードウェア:クロームメッキ
カラー:BMB
カタログ掲載期間:2001
<モデファイの内容>
1.導電塗料とアルミシートによるキャビティ内のシールド・ノイズ対策。
2.Vol.のポットを新品(Alpha製)に交換し、オレンジドロップのキャパシターを採用。
3.Belden#8503 によるワイヤリングと Switchcraft #12B ジャックの採用。
4.Tone 側スイッチポットによるハーモニックスモードの追加。→ Ver.2 仕様
5.ボリュームとトーンのノブを名称入のソーサーノブに交換し、サスティナー・コント
ロールのノブを小形化して視認性を向上。
6.PUセレクタースイッチをツマミの低い全金属製に交換。
7.ペグ・ブリッジ・テイルピースをクロームメッキ仕様に交換。
8.ビス・ネジ・ワッシャの類いをステンレス製に交換して防錆対策。
9.ナット・フレットをはじめとする各部の調整。
いかがでしょうか?
ギターの見すぼらしさもライブでの演奏性も一挙解決!
手前味噌になってしまいますが、この方がずっと分かりやすいと思いませんか? ハードウェア的には、慣れ親しんだ LS-75 に施したモデファイに準拠させています。
スイッチは基板搭載なので交換を見送り、代わりにカラフルなポリキャップを被せてワンポイントにしました。
これからのプランとしては、リア PU がオリジナルのままなので交換を考えても良いのですが、FVH-1001 は単体でみる限りそんなに悪くないので、これといった代替案が出ない限り、当面はこのまま使っているでしょう。
あと思いつくのはピックガードの追加くらいかな?
LS-55S Ver.2
登場の翌年になって、型番はそのままに若干のバージョンアップが施されました。
Burny LS-55S Ver.2
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:アルダー
ピックアップ:Driver HPD-200
Fernandes FVH-1001
コントロール:1 Volume 1 Tone
1 Sustainer Controls
ペグ :Gotoh SGE-04
ブリッジ:チェーン O マチック SG製
テイルピース:亜鉛ダイキャスト SG製
ハードウェア:ブラックメッキ
カラー:MBB BMB RMB
カタログ掲載期間:2001
外観からは分かりませんが、サスティナー・コントロールのノブをプッシュアップするとサスティン音をハーモニックスモードにすることができます。またカラーバリエーションにも変更が生じ、MBK に代って MBB がラインナップされました。
まるで Fender でいうところの Antigua(アンティグア)を彷彿とさせるカラーですね。
余談ですが、Ver.1 に装備された基板にもハーモニックスモードにするための端子は設けられているので、トーンコントロールをスイッチ付のポットに交換して配線するだけで、Ver.2 と同じ機能にすることが可能です。しかし専用のコネクターや配線の知識が必要ですので、必ず Fernandes Sustainer に責任もってもらえるショップに依頼しましょう。
LS-38 Ver.3
LS-38 Ver.2 は比較的熟成された仕様を持っていたうえ、スペシャルカラーまで登場したので、もうこれが完成形かと思いきや、どこでどうして21世紀には Ver.3 が現れました。
Burny LS-38 Ver.3
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:バスウッド
ピックアップ:Fernandes FVH-1001×2
コントロール:1 Volume 1 Tone
1 Coiltap Switch
ペグ :NB・キーストンタイプ
ブリッジ:チェーン O マチック SG製
テイルピース:亜鉛ダイキャスト SG製
ハードウェア:ガンメタリックメッキ
カラー:MBS TSV DLV PPW PRB
カタログ掲載期間:2001
LS-38 Ver.3 はカタログ掲載期間1年と短命でしたが、LS38 の集大成というべき内容を持っています。私見ではエントリーモデルには過剰装備に思えた 2V 2T の仕様が 1V 1T に刷新され、LSシリーズにして初の「コイルタップスイッチ」が、遂に採用されました。
操作系をシンプルにして音色バリエーションを増やした、正に理想的なレイアウトです。
またいくつかのモデルで触れたとおり、ジャック位置がボディサイドに移されています。
塗色もラインナップを一新し、ブルーやピンクをアンティグア調にアレンジした POP なバリエーションが登場。伝統の BL も MBS となって、メタリックカラーになりました。
加えてマット調なので、まるで LS-80 Ver.1 の時代に逆行させたような印象を受けます。
メタリックカラーなんだけど、ヘビーデューティーなイメージには持ってこないようにしたような、そんなデザイン上の表現というか苦心の跡を感じるのは、私だけでしょうか?
写真を見ると他モデルよりシャープさが無く、良く言えばソフトで穏やかな感じですね。
ハードウェア的には、残念ながらゴトーガット製のペグがドロップアウト。憶測ですが、ラインナップに無いガンメタリックのメッキにゴトーガット社が応じなかった。あるいはコスト的に見合わなかったのではないでしょうか? 私個人としては、メンテナンスで不利なブラック系メッキが好きではないので、ここはクロームにして欲しかったところです。
あ~ Ver.2 でこのコントロール系だったらなぁと、ついつい考えてしまう私でした。
LS-38 Ver.3 Special Edition
LS-38 Ver.3 にも、カタログに掲載されていないスペシャルカラーが存在しました。
このFP(ファイヤーパターン)は ZO-3 にも採用されているので、フェルナンデスでは比較的ポピュラーなカラーですが、特に LSシリーズの外観にはマッチするようですね。
Burny LS-38FP Ver.3 Special Edition
<仕様>
ネック:メイプル・スカーフジョイント
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:バスウッド
ピックアップ:Fernandes FVH-1001×2
コントロール:1 Volume 1 Tone
1 Coiltap Switch
ペグ :NB・キーストンタイプ
ブリッジ:チェーン O マチック SG製
テイルピース:亜鉛ダイキャスト SG製
ハードウェア:ガンメタリックメッキ
カラー:FP
カタログ掲載期間:なし(非掲載)
ハードウェアはほぼ Ver.3 の踏襲ですが、ファイヤーパターン表現のためかボディトップのみがフラットになり、バックは LS-38 のままという、極めて特殊な形状となりました。
コントロールノブにストラトタイプが採用されていることや、よく見るとブリッジも可変幅の広いナッシュビルタイプに変わっているなど、各所に変更点が見いだせます。
どこかで似たようなギターを見た覚えがあると思ったら、Epiphone の Hellcat というセミアコギターがそっくりさんでした。但し Hellcat は “炎” のイエローの部分がオレンジがかったレッドで、さらにエグいコントラスト。ロカビリーチックに、ダイスノブと Bigsbyタイプのビブラートユニットをまとった、こちらもクールなギターですよ!
LS-VINTAGE 2014
冒頭で触れた LSシリーズの復活バージョン。迷いもありましたが入手してしまいました。
LS-65 をご紹介した際に、最もビジュアル的に訴求したモデルと評しましたが、こちらは全く別の角度のデザインを採用し、初の Bigsbyビブラートユニット搭載機となりました。
Burny LS-VINTAGE 2014 WR
<仕様>
ネック:マホガニー
指板 :ローズウッド 22フレット
スケール:24 3/4 インチ
ジョイント:デタッチャブル
ボディ:マホガニー
ピックアップ:Burny Original ×2
コントロール:2 Volume 1 Tone
ペグ :NB・グローバータイプ
ブリッジ:NB・チェーン O マチック
テイルピース:Licenced Bigsby B70
ハードウェア:クローム
カラー:WR
カタログ掲載期間:なし(非掲載)
約13年ぶりに復活した LS は、初の中国製モデルでもありました。コントロールの配置こそ Ver.1~2 を踏襲しているものの、スイッチの位置や装飾は Gibson Les Paul Custom からの影響を色濃く投影していますね。フラットトップであるが故にフロント PU をピックガードマウントにして変化を付けていますが、それが無ければ更に接近するでしょう。
看板のビブラートユニットは “Bigsby B70” で、定番モデル B7 のローコスト版(ライセンス品)です。上掲の LS-75 カスタマイズ版でも触れましたが、フラットトップである LS に本来適合するのは B5系のはずで、あえて ES-335 や Les Paul 等のアーチドトップ用である B7系を採用したのは、そのダイナミックなルックスを優先したためでしょう。
やはり多少の無理はあるようで、ビブラートユニット全体が数ミリ浮き上がってボディに密着せず、ブリッジ側とエンドピン側の双方で宙づり固定されているという状態です。
しかもエンドピン側の方が若干高いため、ビブラートユニットにアーチドトップのギターに装着したのとは反対の傾斜(ブリッジ側が低い)が付いてしまっているのが残念です。
PU の方はノーマルのハムバッカーにトップの抜けたメタルカバーが装着されており、例えるなら往年の YAMAHA SG に使用された OPG-Ⅰを彷彿させる仕様となっています。
しかしあえてクロームカバーを採用したのには、ビブラートユニットと併せて Gretsch的なルックス(フィルタートロン)を狙った思惑があったのでしょう。
ピックガードにも残念があって、矢印の部分がブリッジを上下させるサムナットに当たって、たいへん回しにくい位置にまで伸びていることが挙げられます。リア PU のエスカッションと同じ位置でカットしても良かったのではないでしょうか?
ペグにはグローバータイプのロトマチックが採用されており、実はこれもキーストンタイプを頑なに踏襲してきた LSシリーズ(LSAを除く)において、初の採用となっています。
これも Gretsch的なルックスというか、Bigsbyビブラートユニットとのトータルコーディネートにおいて、そうなったのでしょう。拘る方には本物の Grover-102 との交換をお勧めします。あのデザインは、裏面のギヤケースも含めた全体に魅力がありますので。
他にもフロント PU は3点支持にして傾斜を持たせられるように等のリクエストはありますが、トータル的には丁寧に作られたギターなので好感を持てました。
私の所感はデザイン(設計)の問題であって、指示どおりに作られた現地の方々には不本意な内容かもしれません。どうか誤解のないようお断りをしておきます。
初だらけの LS-VINTAGE 2014。実はシリアルナンバーが刻印された初の LS でもあったのです。ここに至ってやっとナンバーの項目が Burnyギターの解析に加わりました。
LS-75 Ver.2 & LS-60 執筆中